専門看護師とは?認定看護師との違い・なるには・費用と年収の実態を一次データで解説
専門看護師とは、日本看護協会が認定する「ある特定の専門看護分野において卓越した看護実践能力を有する」看護師のことです。分野は14分野(日本看護協会 2026年9月現在)、登録者は3,473人(2024年12月現在)で、約136万人の就業看護師の約0.25%(※本記事が2つの統計から算出)にすぎない希少な資格です。認定看護師との最大の違いは、看護系大学院での2年間の教育が前提となる点と、病棟の枠を越えて組織全体を支える役割範囲にあります。
資格の定義から費用・手当の実態、2025〜2028年の制度改定まで、日本看護協会と厚生労働省の一次データをもとに整理しました。
本記事でわかること
- 専門看護師の定義・14分野・登録者数のデータ
- 認定看護師・特定行為研修修了者・診療看護師(NP)との8軸比較
- 取得にかかる費用の実額(国立大学院で約135万円)と回収シミュレーション
- 資格手当の支給実態(支給率34.1%・平均月11,279円)という率直なデータ
- 2025〜2028年の制度改定スケジュールと「看護士」「専任看護師」との違い
最終更新日:2026年9月(最新の制度情報は日本看護協会の公式サイトでもご確認ください)
専門看護師とは?制度の基本と6つの役割

専門看護師とは、日本看護協会が認定する「ある特定の専門看護分野において卓越した看護実践能力を有する」看護師で、CNS(Certified Nurse Specialist)とも呼ばれます。分野は14分野、登録者は3,473人(2024年12月現在)で、約136万人の就業看護師の約0.25%にすぎない希少な資格です。
専門看護師(CNS)の定義と制度の位置づけ
専門看護師(せんもんかんごし/CNS:Certified Nurse Specialist)は、日本看護協会の資格認定制度に基づく資格で、名称は同協会の登録商標です。制度の創設は1994年。翌1995年に認定看護師制度、1998年に認定看護管理者制度が続きました。
ある特定の専門看護分野において卓越した看護実践能力を有する
この3制度は、国の第8次医療計画や「看護師等の確保を促進するための措置に関する基本的な指針」(2023年10月改定)にも養成・確保が明記されています。専門看護師は協会独自の称号ではなく、国の医療政策が後押しする資格です(出典:日本看護協会「資格認定制度」)。
専門看護師の6つの役割を具体的な場面で解説
役割は日本看護協会の定める6つ。認定看護師の3役割(実践・指導・相談。出典:日本看護協会「認定看護師」)より範囲が広く、組織横断的な動きが特徴です。
- 実践:専門分野で卓越した看護を直接提供する(例:がん患者の疼痛コントロールの実践モデルを示す)
- 相談(コンサルテーション):スタッフからの相談に助言する(例:病棟看護師から褥瘡ケアの相談を受け助言する)
- 調整(コーディネーション):多職種間の調整を行う(例:ICUから在宅移行する患者のカンファレンスを取りまとめる)
- 倫理調整:倫理的課題の解決を支援する(例:治療方針に揺れる家族と医療チームの橋渡しをする)
- 教育:看護職の教育を企画・実施する(例:病棟の勉強会で最新のエビデンスを共有する)
- 研究:専門分野の研究活動を推進する(例:院内研究の計画立案を支援する)
【図解:6役割の関係図——「実践」を中心に、相談・調整・倫理調整・教育・研究が病棟と組織の間を往復する構造。難易度:中(Canva)】
6役割は並列ではなく、互いに連携しています。実践で得た知見を教育に還元し、相談・調整を通じて組織全体の看護の質を底上げする——これが専門看護師の役割構造です。
登録者数は3,473人。看護師全体の約0.25%という希少性
日本看護協会の登録データ(2024年12月現在)によると、専門看護師の登録者総数は3,473人です。厚生労働省「令和6年衛生行政報告例」(2025年7月29日公表)の就業看護師数は136万人超。専門看護師は看護師全体の約0.25%にとどまります(※本記事が両データから算出)。
地区別・都道府県別の内訳は、日本看護協会 認定部がPDFで公開しています。数値は公開時点で変わるため、最新値は同PDFを直接ご確認ください。
出典:日本看護協会 認定部「専門看護師 都道府県別登録者数(日本地図版)」(2024年12月現在)/厚生労働省「令和6年 衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」(2025年7月29日公表)
このH2のまとめ:専門看護師は1994年創設の日本看護協会認定資格で、6つの役割を担い、登録者3,473人・看護師全体の約0.25%という希少な存在です。
専門看護師の専門分野は?14分野一覧【登録者数・教育機関数つき】

専門看護師の専門分野は14分野(日本看護協会 2026年9月現在)です。登録者が最も多いのは「がん看護」で、分野ごとに登録者数・教育機関数に差があります。分野選びは「学びたい領域」と「通える教育機関があるか」の両方で考える必要があります。
14分野の一覧と各分野の役割
専門看護師の14分野は、対象となる患者・領域ごとに次のように分かれています(出典:日本看護協会「専門看護師」)。
| 分野 | 主な対象領域 |
|---|---|
| がん看護 | がん患者と家族の全過程 |
| 精神看護 | 精神疾患を持つ人と家族 |
| 地域看護 | 地域で生活する人々 |
| 老人看護 | 高齢者と家族 |
| 小児看護 | 子どもと家族 |
| 母性看護 | 妊産褥期の女性と家族 |
| 慢性疾患看護 | 慢性疾患を持つ人 |
| 急性・重症患者看護 | 急性期・重症患者 |
| 感染性疾患看護 | 感染症患者と予防 |
| 家族支援 | 家族への支援全般 |
| 在宅看護 | 在宅で療養する人 |
| 遺伝看護 | 遺伝的課題を持つ人 |
| 災害看護 | 災害時の被災者 |
| 放射線看護 | 放射線治療・検査を受ける人 |
分野別登録者数と教育機関数——選びやすい分野・少ない分野
分野別の登録者数(2024年12月25日時点)を見ると、がん看護は1,133人で最多。地域看護は30人と大きな開きがあります。
| 分野 | 登録者数(2024年12月25日時点) |
|---|---|
| がん看護 | 1,133人 |
| 精神看護 | 454人 |
| 小児看護 | 321人 |
| 老人看護 | 290人 |
| 地域看護 | 30人 |
出典:日本看護協会「分野別登録者数」(2024年12月時点)。最新の全分野の数値は日本看護協会「専門看護師」から確認できます。
教育機関数も偏りが大きく、2023年12月時点のデータでは精神看護52校・老人看護46校に対し、地域看護は1校でした。教育機関数の最新値は、協会が公開する「専門看護師教育機関・課程一覧」で確認してください。
教育機関が少ない分野を選ぶなら、居住地から通える範囲に大学院があるかが進路の現実的な制約になります。志望分野が固まったら、まず教育機関の所在地を確かめましょう。
地域による偏り——関東甲信越1,436人 vs 九州沖縄282人
地区別の登録者数にも偏りがあり、専門看護師の活躍の場は都市圏に集中しています。地区別の内訳数値は公開時点で変わるため、最新の地区別・都道府県別の数値は日本看護協会 認定部「専門看護師 都道府県別登録者数(日本地図版)」でご確認ください。
【図解:地区別登録者の棒グラフ——協会PDFの地区別登録者数を横棒グラフで可視化する図。数値確定後に作図。難易度:低】
この偏りは、専門看護師を配置できる大規模病院が都市圏に集まっていることの反映です。地方で目指すなら、取得後に活躍できる職場が近隣にあるかもあわせて確認しておきましょう。
このH2のまとめ:14分野のなかで登録者・教育機関の数には大きな偏りがあり、分野選びは「学びたい領域」と「通える教育機関・活躍できる地域」の兼ね合いで判断します。
専門看護師と認定看護師の違いは?特定行為研修・診療看護師(NP)も含む8軸比較

専門看護師と認定看護師の最大の違いは教育期間と役割範囲で、専門看護師は看護系大学院で2年間学ぶのに対し、認定看護師教育は800時間のカリキュラムです(A課程は約6カ月、B課程は特定行為研修を含むため約1年)。役割も認定看護師が実践・指導・相談の3つであるのに対し、専門看護師は6つを担い、病棟の枠を越えて組織全体を支援します。
8軸×4資格の比較マトリクス
専門看護師に関連する4つの資格・制度を、8つの軸で横断比較したのが次の表です。各数値の出典は表の直下に記載しています。
| 比較軸 | 専門看護師(CNS) | 認定看護師(CN) | 特定行為研修修了者 | 診療看護師(NP) |
|---|---|---|---|---|
| 分野数 | 14分野 | ― | ― | ― |
| 登録者・修了者数 | 3,473人(2024年12月) | ― | 11,840人(2025年3月) | 872人(2024年4月) |
| 教育期間 | 大学院2年 | 800時間(A課程約6カ月/B課程約1年) | ― | 大学院課程 |
| 費用の目安 | 約135万円(国立) | ― | 機関により異なる(各指定研修機関の募集要項で要確認) | ― |
| 手当支給率 | 34.1% | ― | ― | 66% |
| 更新制度 | あり(5年で100点以上の研究業績等、または24時間の研修) | あり(5年で50点以上または24時間の研修) | ― | ― |
| 役割 | 実践・相談・調整・倫理調整・教育・研究の6つ | 実践・指導・相談の3つ | 特定行為の実施 | 医師の指示下での診療行為 |
| 活動範囲 | 組織横断的 | 臨床現場中心 | 臨床現場中心 | 臨床現場中心 |
出典:日本看護協会 認定部(2024年12月)、日本看護協会「2022年度 専門看護師・認定看護師に対する評価・処遇に関する調査 報告書」(2023年)、厚生労働省「特定行為に係る看護師の研修制度」、日本NP教育大学院協議会(2024年)、日本看護協会「認定看護師」(制度規程2025年4月1日施行)、日本看護協会「専門看護師」
※「―」は本記事で確認できる最新の一次情報がなかった項目。無出典の数値で埋めない方針のため空欄としています。
注目したいのは手当支給率です。専門看護師は34.1%で、診療看護師(NP)の66%と比べて低い水準にあります。教育期間・費用の重さに対し、処遇面の整備が追いついていない実態が数字に表れています。
認定看護師と専門看護師のどちらを選ぶ?3つの判断軸
どちらを目指すかは、3つの軸で整理できます。
- キャリアの方向性:臨床現場に近い実践を重視するなら認定看護師、組織横断的な調整・教育を重視するなら専門看護師
- 教育年限:認定看護師教育は800時間(A課程約6カ月)、専門看護師は大学院2年。仕事との両立可能性に直結する
- 費用負担の許容範囲:専門看護師は国立大学院でも約135万円の学費がかかる
【図解:選択フローチャート——「臨床実践を深めたい」→認定看護師、「組織全体の看護の質を上げたい」→専門看護師、と分岐する図。難易度:中】
特定行為研修・診療看護師(NP)との位置づけの違い
特定行為研修は2015年10月に施行された制度で、医師の判断を待たずに一定の診療補助行為を実施できる看護師を育てる仕組みです。修了者は2025年3月時点で11,840人、指定研修機関は2025年9月時点で全国474機関まで増えています(出典:厚生労働省「特定行為に係る看護師の研修制度」。最新の公表値は同ページでご確認ください)。
厚生労働省は「2025年度までに10万人の看護師が特定行為研修を修了する」という目標を掲げていました(2020年1月時点の資料による目標。出典:厚生労働省医政局看護課資料(2020年1月))。
診療看護師(NP)は、日本NP教育大学院協議会の認定制度に基づく資格で、認定者は872人(2024年4月1日時点)です。令和5年度の活動実態調査(調査対象は資格認定者759名、回答362名・回答率47.6%)では、手当がある職場は66%、看護師と別の俸給表が設定されている職場は9%でした。調査の母数759名は認定者総数872人とは異なる点にご注意ください(出典:一般社団法人日本NP教育大学院協議会(2024年)。調査期間2023年12月1〜31日)。
このH2のまとめ:専門看護師は「大学院2年+6役割+組織横断」、認定看護師は「800時間の教育+3役割+臨床中心」が基本的な違いで、手当支給率は専門看護師34.1%・NP66%(いずれも各調査時点の値)と差があります。
専門看護師になるには?要件・流れ・費用の全手順

専門看護師になるには、看護師免許と実務経験5年以上(うち3年以上は専門分野)を満たしたうえで、看護系大学院で2年間学び(国立の場合の学費は約135万円)、日本看護協会の認定審査に合格する流れです。2026年6月現在、教育課程は全国110大学院330課程に設置されています。
取得要件——実務経験5年以上、うち3年以上は専門分野
認定審査の申請には、看護師としての実務経験が通算5年以上必要で、そのうち3年以上は専門とする看護分野での実務経験が求められます(出典:日本看護協会「専門看護師」)。
看護系大学院での教育課程——2年・26単位または38単位
専門看護師の教育課程は、2026年6月現在で全国110大学院・330課程に設置されています(出典:日本看護協会「専門看護師」)。修士課程はおよそ2年間で、必要単位は総計38単位です。旧基準の26単位課程から新基準の38単位への移行が進んでおり、課程ごとに異なる場合があります。出願時に自分の課程の単位構成を確認してください。
費用の実額は約135万円〜(国立大学院の場合)
国立大学院の学費は、「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令」に基づく標準額で、入学料282,000円・授業料年額535,800円です。2年間の合計は次のとおりです。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 入学料 | 282,000円 |
| 授業料(1年目) | 535,800円 |
| 授業料(2年目) | 535,800円 |
| 合計 | 1,353,600円 |
出典:文部科学省「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令」による標準額(参考:明治安田生命「大学の学費」)
※合計額は本記事が標準額から算出。各大学は標準額の120%を上限に独自設定できるため、大学によっては上振れします。私立大学院の場合はさらに高額になるのが一般的です。
このほかに、教科書代・実習関連費・通学費が別途かかります。最新の金額は進学先の大学院に直接確認してください。
働きながら取得できる?申請から認定までのスケジュール
大学院の授業は平日昼間の開講が中心で、2年間の学業と実務の両立には職場の理解と勤務調整が欠かせません。長期履修制度など働きながら学べる履修形態は各大学院で異なるため、志望校の募集要項で確認してください。
取得までの流れは5ステップです。
- 看護師免許を取得し、実務経験5年以上(うち3年以上は専門分野)を積む
- 看護系大学院の修士課程に入学し、2年間で総計38単位を修得する(旧基準26単位の課程もあり)
- 日本看護協会へ認定審査を申請する(書類審査)
- 認定審査に合格し、登録する
- 登録後は更新審査の要件を満たしながら資格を維持する
【図解:取得ロードマップ手順図——実務5年→大学院2年→認定審査→登録、の4段階を年数つきで横に並べた手順図。難易度:中】
このH2のまとめ:取得には実務5年以上・大学院2年・学費約135万円(国立)が前提となり、働きながらの履修形態は各大学院で異なるため要確認です。
専門看護師の年収・手当は?データで見る待遇の実態

日本看護協会の2022年度調査によると、専門看護師の資格手当が毎月支給されるのは34.1%にとどまり、支給される場合の平均額は月11,279円(年間約13.5万円)です。取得前に職場の手当・評価制度を確認することが重要です。
資格手当が毎月支給されるのは34.1%。平均額は月11,279円
日本看護協会 労働政策部の調査(2022年度)によると、資格手当の支給実態は次のとおりです。以下は本記事が報告書の数値を整理したものです。
資格手当が毎月支給されるのは専門看護師の34.1%(前回調査比3.7ポイント増)で、支給される場合の平均額は月11,279円(年間約13.5万円)でした。
| 資格 | 手当支給率 | 平均支給額(月額) | 年間換算 |
|---|---|---|---|
| 専門看護師 | 34.1% | 11,279円 | 約13.5万円 |
出典:日本看護協会 労働政策部「2022年度 専門看護師・認定看護師に対する評価・処遇に関する調査 報告書」(2023年)
支給率34.1%は、裏返すと約3人に2人の専門看護師が手当のない職場で働いている計算です。「付く職場では付くが、そもそも付かない職場が多い」——支給実態はこういう構造です。
看護師全体の平均年収519万7,000円との比較
比較の基準として、厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」(2025年3月公表)では、看護師の平均年収は約519万7,000円です(「きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額」で算出。出典:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」)。
手当が月11,279円支給された場合、年収への上乗せは約13.5万円。平均年収約519万7,000円に対して約2.6%(※本記事算出)に相当します。資格取得がそのまま大幅な収入増につながるとは、データからは言えません。
費用対効果のシミュレーション——学費回収に約10年という現実
国立大学院の学費1,353,600円を、手当の年間支給額約13.5万円で割ると、回収には約10年かかる計算になります(※本記事が文科省令の標準額と2022年度調査のデータから算出)。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 学費(国立大学院2年) | 1,353,600円 |
| 手当年間支給額 | 約135,000円 |
| 回収年数 | 約10年 |
見落とせないのは、手当が支給される職場が34.1%にとどまる点です。残りの65.9%の職場では、金銭面での回収自体が成立しません。 資格取得の意義は手当だけでなく役割の広がりや専門性の深化にもありますが、「費用対効果」の観点では率直に厳しい数字です。
このH2のまとめ:資格手当の支給率は34.1%・平均月11,279円で、学費約135万円の回収には約10年かかる計算。取得判断は金銭面以外の価値も含めて検討する必要があります。
専門看護師を目指す前に知っておきたい3つの現実

専門看護師を目指すうえで事前に知っておきたい現実は3つあります。①費用と時間の負担、②手当・評価制度がない職場があること、③配置される職場が限られること、です。いずれも一次データが示す事実として、率直に整理しました。
費用と時間の負担——2年間の学業と実務の両立
国立大学院でも学費は約135万円かかり、これに加えて2年間の学業と実務の両立が求められます。授業は平日昼間の開講が中心のため、勤務先の勤務調整の協力が得られない場合、休職や離職の検討を迫られるケースもあり得ます。学費の工面と勤務形態の調整は、出願前の必須確認事項です。
手当・評価制度がない職場がある——支給額に不満69%
2022年度調査では、資格手当が毎月支給される職場は34.1%にとどまりました。取得しても職場に手当・評価制度がなければ、処遇面での変化は期待できません。だからこそ、取得前に「自分の職場(または転職候補先)に手当・評価制度があるか」を人事規定で確かめておきましょう。
専門看護師に向いている人・向いていない人
データから読み取れる向き・不向きを、チェックリスト形式で整理します。
向いている可能性が高い人
- 職場に取得支援制度(学費補助・勤務調整)がある
- 居住地から通える範囲に志望分野の教育機関がある
- 組織横断的な調整や教育にやりがいを感じる
向いていない可能性がある人
- 現在の職場に取得支援制度がなく、転職の予定もない
- 居住地に教育機関がなく、通学が難しい
- 臨床現場での直接的な実践を最も重視したい(認定看護師が合う可能性)
このH2のまとめ:費用約135万円・2年間の両立・手当が付かない職場の存在という3つの現実を踏まえ、職場の制度と居住地の教育機関を事前確認するのが後悔しない進路選びの前提です。
専門看護師はどこで働いている?勤務先の実態

専門看護師の勤務先は病院が中心ですが、日本看護協会の2024年調査では病院以外での活動状況も調査対象とされています。ただし配置には病床規模による偏りがあり、訪問看護分野では極めて希少な存在です。
病院が中心だが広がる病院外の活動領域
日本看護協会「2024年 病院看護実態調査」では、専門看護師・認定看護師・特定行為研修修了者の地域での活動状況が調査され、病院以外での活動状況も調査対象とされました。病院の枠を越えた活躍の場が、調査の中でも取り上げられています(出典:日本看護協会「2024年 病院看護実態調査」News Release(2025年3月31日))。
調査概要:調査主体=日本看護協会/調査名=2024年 病院看護実態調査/公表=2025年3月31日。回答病院数・回収率の数値はNews Release本文で確認中のため、詳細は同リリースをご参照ください。
訪問看護・施設での希少性
病院外への広がりが注目される一方、訪問看護分野での専門看護師はまだ希少です。日本看護協会「2024年度 診療報酬・介護報酬改定等に向けた訪問看護実態調査」(令和5年=2023年3月)によると、訪問看護ステーションの事業所管理者の保有資格は「あてはまるものはない」が70.4%、「特定行為研修の修了者」は4.2%でした(出典:日本看護協会「2024年度 診療報酬・介護報酬改定等に向けた訪問看護実態調査」(令和5年3月))。
専門看護師がいる職場の探し方——転職サイト・エージェント活用の向き不向き
2024年病院看護実態調査の報告書(調査研究報告No.101)には、病床規模別の正規雇用専門看護師数に関する統計表が収載されており、職場選びの参考になります(出典:日本看護協会 調査研究報告<No.101>(2025年))。
転職サイト・転職エージェントの活用は、どちらが良いというものではなく、人によって向き不向きがあります。
使うと効率が上がる人
- 「専門看護師が配置されている」「取得支援制度がある」といった条件で求人を絞り込みたい人
- 手当・評価制度の有無など、公開求人票に載りにくい情報を確認したい人
自力で進められる人
- 候補先が地域で限られており、病院の採用ページや看護部への問い合わせで直接確認できる人
- 配置実績は日本看護協会の登録データなど公開情報で調べられる人
このH2のまとめ:勤務先は病院が中心で、病院外での活動状況も調査対象となっているものの、訪問看護では希少。職場選びは配置実績と支援制度の確認が軸になります。
専門看護師の制度はどう変わる?2025〜2028年の制度改定

専門看護師を含む資格認定制度は段階的に変更され、更新・再認定審査は2025年度から、認定審査は2026年度から、個人審査の申請要件は2028年度から変わります。これから目指す人は新制度を前提に準備する必要があります。
制度改定タイムライン——更新審査2025年度/認定審査2026年度/個人審査要件2028年度
| 時期 | 変更内容 |
|---|---|
| 2025年度 | 更新審査・再認定審査の内容が変更 |
| 2026年度 | 認定審査の内容が変更 |
| 2028年度 | 個人審査の申請に必要な「自己研鑽」「研修実績及び研究業績」が変更され、完全移行 |
| (経過措置) | 2025〜2027年度の更新対象者および再認定審査申請者には特例措置が適用される |
出典:日本看護協会「資格認定制度」/公益社団法人岩手県看護協会「専門看護師・認定看護師・認定看護管理者の個人審査について」
認定看護師教育から特定行為研修を分離する見直しの影響
日本看護協会では、2028年度の認定看護師教育見直しに向けた検討が進められており、教育・認定審査のスケジュール(案)等が公表されています。認定看護分野の名称等についても検討・情報提供が行われています(出典:日本看護協会「資格認定制度」掲載の関連資料)。
現在の認定看護師教育課程(B課程)には特定行為研修が組み込まれており(出典:日本看護協会「認定看護師」)、日本看護協会看護研修学校の特定行為研修修了者は2024年6月末現在1,098名です(出典:日本看護協会「2025年度 特定行為研修 募集要項」)。
教育の見直しが実施されると、認定看護師の取得と特定行為研修の修了を別々に計画する必要が出てくる可能性があります。2026年度以降に資格取得を計画する人は、教育課程の再編動向を確認しておきましょう。
今から目指す場合のキャリア選択の考え方
制度の変更期にあるため、今から目指す人は次の項目を公式情報で確認しながら計画を立てるのが確実です。
- 出願予定年度の審査要件(自己研鑽・研修実績・研究業績の基準)
- 志望分野の名称変更の有無
- 認定看護師教育と特定行為研修の分離実施の時期
- 更新・再認定の新要件(2025年度から変更済み)
最新情報は日本看護協会「資格認定制度」で随時公表されます。
このH2のまとめ:2025年度の更新審査変更・2026年度の認定審査変更・2028年度の個人審査要件変更と3段階の改定が進行中で、計画は新制度を前提に立てます。
「看護士」「専任看護師」との違いは?混同しやすい用語の整理

「看護士」は2002年3月までの男性看護師の旧称で、現在は男女とも「看護師」に統一されています。「専任看護師」という名称の国家資格・認定資格は存在しません。専門看護師・認定看護師とは別の概念です。
看護師と看護士の違い——2002年3月の名称統一と法的根拠
2001年12月に「保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する法律」(2001年法律第153号)が成立し、法律名が「保健師助産師看護師法」へ改題されました。これに伴い、2002年3月1日から男女ともに「看護師」の名称に統一されています。
保健師助産師看護師法(第5条):この法律において「看護師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、傷病者若しくはじょく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行なうことを業とする者をいう。
出典:e-Gov法令検索「保健師助産師看護師法」/衆議院「保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する法律」
「看護士」はかつて男性看護職に用いられた呼称で、2002年3月以降は正式名称ではありません。現在の求人・資格制度ではすべて「看護師」が正式表記です。
専任看護師とは——国家資格名ではなく配置を指す呼称
「専任看護師」という名称の国家資格・認定資格は存在しません。診療報酬の施設基準では「専任」「専従」という配置上の区分が用いられますが、要件は告示ごとに異なるため、厚生労働省の最新告示をご確認ください。
看護師になるには・費用の基本
看護師になるには、看護師国家試験の受験資格を得られる養成課程(大学・専門学校等)を修了し、国家試験に合格する必要があります。第114回看護師国家試験(2025年2月16日実施)の合格率は90.1%でした(出典:旺文社 教育情報センター(2025年4月、原典:厚生労働省発表資料)。最新の結果は厚生労働省の合格発表でご確認ください)。養成課程の学費や進路の詳細は、関連記事「看護師になるには・費用」で解説しています。
このH2のまとめ:「看護士」は2002年3月に廃止された旧称、「専任看護師」という名称の資格は存在せず、いずれも専門看護師とは別の概念です。
専門看護師に関するよくある質問(FAQ)
専門看護師についてよく寄せられる6つの質問に、一次データをもとに簡潔にお答えします。各回答の詳細は本文の該当セクションに内部リンクで誘導しています。
専門看護師の審査は難しい?
難易度の手がかりとなるのは教育要件の重さです。専門看護師は看護系大学院で2年間学び総計38単位の修得が前提となるのに対し、認定看護師教育は800時間のカリキュラム(A課程は約6カ月)です。時間と費用のハードルは認定看護師より高めです。詳しくは「専門看護師になるには?」のセクションをご確認ください。
資格の更新は必要?
更新制度があり、更新審査は2025年度から内容が変更されています。専門看護師の再認定には「過去5年間に100点以上の研究業績等があること、または24時間の研修を受講していること」が求められます(出典:日本看護協会「専門看護師」)。なお認定看護師の更新要件は「過去5年間に50点以上の自己研鑽等の実績、または24時間の研修受講」で、点数基準が異なります(制度規程2025年4月1日施行。出典:日本看護協会「認定看護師」)。
手当はいくらもらえる?
支給される場合の平均額は月11,279円(年間約13.5万円)です。ただし毎月支給される職場は34.1%にとどまります(2022年度調査)。詳しくは「年収・手当の実態」のセクションをご覧ください。
審査要件はいつから変わる?
更新・再認定審査は2025年度から、認定審査は2026年度から、個人審査の申請要件は2028年度から変更されます。出願予定年度の要件を公式情報で確認してください。詳細は「2025〜2028年の制度改定」のセクションに整理しています。
准看護師から専門看護師を目指せる?
専門看護師の前提は看護師(正看護師)免許のため、准看護師の方はまず正看護師の資格取得が必要です。なお賃金構造基本統計調査(令和6年)では、准看護師の平均年収は約417万円で、正看護師との差は約103万円です。正看護師への進学ルートから計画を立てるのが現実的です。
専門看護師になった人の感想は?
当メディアでは現役専門看護師へのインタビューを今後実施予定です。現時点では、日本看護協会等の公開資料に掲載された取得者の声を出典付きで確認することをおすすめします(参考:日本看護協会「専門看護師」)。
まとめ
専門看護師は、大学院2年の教育を経て14分野のいずれかで認定される、登録者3,473人の希少な資格です。向いているのは「職場の支援制度がある」「通える教育機関がある」「組織横断的な役割にやりがいを感じる」人で、費用約135万円・手当支給率34.1%という現実を踏まえた判断が欠かせません。
最新の審査要件・分野・登録者数は、日本看護協会「資格認定制度」で必ず最新情報をご確認ください。本記事は同協会の最新情報に基づき、年1回以上の更新を行います。
本記事の制作について:本記事は編集部が日本看護協会・厚生労働省等の一次情報に基づき作成し、記載内容の正確性は編集部が責任を持って確認しています。医療・看護の専門内容を扱うため、看護師資格を持つ監修者による内容確認を公開前に実施する運用です。個別の進路相談は日本看護協会や各教育機関にご相談ください。
主な参考文献(一次資料)
- 日本看護協会「専門看護師」
- 日本看護協会「資格認定制度」
- 日本看護協会「認定看護師」
- 日本看護協会 認定部「専門看護師 都道府県別登録者数(日本地図版)」(2024年12月)
- 日本看護協会「2024年 病院看護実態調査」News Release(2025年3月31日)
- 日本看護協会 調査研究報告<No.101>(2025年)
- 日本看護協会「2022年度 専門看護師・認定看護師に対する評価・処遇に関する調査 報告書」(2023年)
- 日本看護協会「2025年度 特定行為研修 募集要項」(2024年)
- 日本看護協会「2024年度 診療報酬・介護報酬改定等に向けた訪問看護実態調査」(令和5年3月)
- 厚生労働省「令和6年 賃金構造基本統計調査」(2025年3月)
- 厚生労働省「令和6年 衛生行政報告例」(2025年7月29日公表)
- e-Gov法令検索「保健師助産師看護師法」
- 厚生労働省「特定行為に係る看護師の研修制度」
- 厚生労働省医政局看護課「特定行為に係る看護師の研修制度について」(2020年1月)
- 衆議院「保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する法律」(2001年)
- 日本NP教育大学院協議会(2024年)
- 岩手県看護協会「個人審査について」